【開発背景】
コロナ禍により社内での時間が増えたこと、また水槽業界においてアクリル水槽の形状が30年以上進化していないこと、地震が起きた時に水漏れが起きても「しょうがない」とされていたことに不満を抱いたことがきっかけとなり、ER68耐震水槽の開発に取り組むこととなった。

【開発時の工夫】
蓋の隙間だけでなく、ホース隙間からの水漏れを抑えるために、シリコンキャップを使用するなど、徹底的な実験と検討が重ねられた。また、揺れた時の連続する波を相互に打ち消したり逆位相になるような構造を考えるため、防波堤の消波ブロック、制振スロッシングダンパー、船首底部バルバスバウなど、様々な構造を参考にした。

【社会背景】
地震が繰り返し起こり、観賞魚飼育を止めたり縮小する人が多かったこと、高層マンションが増え、地震による水漏れ対策のニーズが増えたことが挙げられる。

【付加的なメリット】
フランジが一枚ものであるため、フランジ接合部でのクラックの可能性が無くなったこと、フランジにつなぎ目が無いために綺麗な状態を長期に保てること、フランジ幅が大きいので耐久性が向上することが挙げられる。

【デメリット】
フランジ幅が大きいため、メンテナンスがやりずらい場合がある可能性があること、費用的には従来水槽の1割程度上昇することが挙げられる。

【その他の工夫】
フランジが一枚もののため、端材が多く発生するが、弊社の別事業の端材工房で商品を展開することで、会社全体の端材処分率を極端に減らすことに成功したことが挙げられる。

【耐震評価基準】
従来は、水槽においての耐震性の評価基準が存在しなかったため、地震による被害が明確ではなかった。しかし、震度毎の評価基準を設定したことにより、被害が記録され改善がより進むものと期待されます。

【現状のER68耐震水槽の課題と解決策】
ER68耐震水槽は、地震発生時に水を溢れさせないために開発された製品であり、耐震性の高さが評価されています。しかし、地震のエネルギーは想像以上に大きく、ユーザーの使用環境によっては、十分な耐震性を発揮できない場合があります。そのため、開発者としては、ユーザーの使用実績や検証結果を蓄積していくことが非常に重要と考えています。今後も、ユーザーの声に耳を傾け、改善やバージョンアップを行っていくことで、より高い耐震性を発揮できる製品へと進化していくことを目指しています。